特集 汗とアレルギー
(鼎談)発汗研究の歴史からみえてくるアレルギーの新しい病因論
皮膚アレルギーフロンティア Vol.12 No.2, 6-14, 2014
[発汗研究の歴史] [片山] 私はもともとシェーグレン症候群について研究をしていましたが, 東京医科歯科大学在籍時に横関先生が発汗量の測定装置を用いた掌蹠多汗症などの皮膚疾患の研究を開始されたことをきっかけに, シェーグレン症候群の乾燥症状に対して発汗の観点から皮膚科的に何か提言できるのではないかと思い, 発汗と皮膚疾患に関連する研究を始めました. そして数年前に塩原先生から, 皮膚科で汗の研究をもっと活発にしたいというお話があり, 汗の研究・臨床に関心がある先生方に年1回お集まりいただき, さまざまな角度から皮膚疾患の発症・増悪における汗の意義などについて検討する機会が生まれ, 今新しい研究分野が育ちつつあると思います. 最初に, わが国における発汗研究の歴史について, 横関先生, ご紹介いただけますか. [横関] わが国では, 1920年代に名古屋大学の久野寧先生がヒトの発汗機能の研究を始められたのが最初で, 久野寧先生はカプセルの中にCaCl2やN2などのガスを通して, ガス中の水分を調べる換気カプセル法を考案し, ヒトの発汗機能を世界で初めて調べて『Human Perspiration』を著し, 世界を驚かせました.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。