【特集 抗ヒスタミン薬~新たな地平~】
特集にあたって
掲載誌
皮膚アレルギーフロンティア
Vol.11 No.2 5,
2013
著者名
佐藤伸一
記事体裁
抄録
疾患領域
アレルギー・免疫
/
皮膚疾患
診療科目
アレルギー科
/
皮膚科
媒体
皮膚アレルギーフロンティア
抗ヒスタミン薬は, アレルギーやかゆみを扱う医師にとっては中心的な薬剤となっている. しかし, 抗ヒスタミン薬はきわめて身近な薬剤であるにもかかわらず, その薬理作用などについて正しく理解されていない点もあるように思われる. 抗ヒスタミン薬を正しく理解するためには, 当然ながら, そのターゲットであるヒスタミンの生理作用について正しく理解する必要がある. そこで本特集では, まずヒスタミンの生理作用について取り上げた. ヒスタミンは末梢の皮膚で炎症や掻痒を引き起こすだけでなく, 中枢神経においては神経伝達物質として重要な機能を担っている. ヒスタミンは脳内で産生され, ヒスタミンニューロンとして大脳, 小脳, 脊髄など広範囲に分布し, 覚醒の増加, 学習と記憶の増強, 痙れんの抑制など重要な機能を司っている. 第一世代抗ヒスタミン薬は血液脳関門を通過するため, 中枢神経に到達し, この重要なヒスタミンの機能を遮断することによって, 眠気, 認知機能障害, 痙れんの誘発などの副作用を惹起する. このようなヒスタミンの生理作用の理解に次いで重要なことは, 抗ヒスタミン薬の薬理作用であるインバース・アゴニストの正しい理解である. そこで本特集では, 次にインバース・アゴニストについてご解説いただいた. インバース・アゴニストという薬理作用が正しく理解されれば, なぜ蕁麻疹で予防的投与のほうが対症的投与より有効であるか, またなぜアトピー性皮膚炎で抗ヒスタミン薬の継続投与が間歇的投与より効果的であるのかも理解される. そのほか, 抗ヒスタミン薬の効果的使用法, 抗ヒスタミン薬とインペアード・パフォーマンス, 抗ヒスタミン薬の多彩な薬理作用, 抗ヒスタミン薬とアドヒアランスについてもエキスパートの先生方にご執筆いただいた. 本特集が, 抗ヒスタミン薬を使用される先生方に少しでもお役に立てれば幸いである.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。