【特集 蕁麻疹~この10年を振り返る~】
加水分解コムギによる経皮感作で発症した小麦アレルギー
掲載誌
皮膚アレルギーフロンティア
Vol.11 No.1 17-22,
2013
著者名
森田栄伸
/
千貫祐子
記事体裁
抄録
疾患領域
アレルギー・免疫
/
皮膚疾患
診療科目
アレルギー科
/
皮膚科
媒体
皮膚アレルギーフロンティア
「要約」近年, 加水分解コムギ含有石鹸を使用して経皮感作され, 小麦製品を摂取して即時型アレルギーを発症する患者が多発した. 日本アレルギー学会への症例登録では1,500例以上の患者が把握されている. これらの患者は, 従来の経口感作された小麦アレルギー患者とは異なり, 顔面の浮腫が主症状であり, 多くは血清中ω-5グリアジン特異的IgEが陰性である. 患者血清を用いた免疫ブロット法やCD203c発現を指標とした患者末梢血好塩基球活性化試験の結果, 比較的大きな分子量の加水分解コムギが抗原となっていること, 加水分解コムギに対するIgEが小麦蛋白質と交叉反応してアレルギー症状を示したことが明らかになった. 加水分解コムギ含有石鹸の中止により, 血清中小麦関連抗原特異的IgEは比較的短期間に減少しているが, 治癒の判定は今後の課題である. 「はじめに」食物アレルギーは, 原因となる食物を食べたのちに蕁麻疹や顔の腫れなどの皮膚症状, 口や喉のイガイガ感などの粘膜症状, 腹痛や下痢などの消化器症状, 息苦しさなどの呼吸器症状, ショックなどの症状がみられる疾患である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。