【特集 円形脱毛症フロンティア】
円形脱毛症の発症機序
掲載誌
皮膚アレルギーフロンティア
Vol.10 No.1 21-25,
2012
著者名
伊藤泰介
記事体裁
抄録
疾患領域
アレルギー・免疫
/
皮膚疾患
診療科目
皮膚科
媒体
皮膚アレルギーフロンティア
【要約】 円形脱毛症は, 毛組織に対する自己免疫反応ととらえる向きが強い. 自己抗原はメラニン合成に関連する蛋白が推定されている. HLA-DQB1*03をもつ患者が多いことや, 一卵性双生児では片方に円形脱毛症が発症すると約半数で両者に円形脱毛症が発症することからも, 遺伝的体質が背景にあるといえる. 疲労やインフルエンザなどの感染症などがきっかけとなることがある. その結果, 毛包周囲の免疫寛容状態が破綻し, またTh1シフトへの免疫バランスの崩れなどが重なり発症する. そこにはNKG2DやNKG2Cといった活性化受容体をもったNK細胞の浸潤, そのリガンドであるMICA発現が毛包で亢進していることもわかってきた. このように徐々に病態は解明されてきているが, 治療に結びつくためにはまだまだ時間が必要である. 【はじめに】 円形脱毛症(alopecia areata;AA)は自然治癒がある一方で, あらゆる治療法に抵抗性を示し慢性化する症例もあるため, 外来診療のなかでは敬遠されやすい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。