要 約
アトピー性皮膚炎(AD)の診療では,かつてステロイド忌避による治療の混乱や不適切な民間療法などがみられた時期があった.日本皮膚科学会によるアトピー性皮膚炎の治療ガイドライン(2000年,2004年),さらに診断法も含めた診療ガイドライン(2008年,2009年)が作成され,標準治療の指針が整備された.その骨子は,急性増悪期においてステロイド外用療法が主体であること,長期の寛解維持を目指すプロアクティブ治療の有効性が示されたこと,長期維持においてスキンケアの有効性が明らかになったことなどである.また,この間に新しい免疫調節薬による外用療法,かゆみのコントロールとしての抗ヒスタミン薬に対するエビデンスが整備された.重症例における免疫調節薬の内服療法,補助療法としての光線療法,心身医学療法も新たな治療として組み入れられた.また,患者教育や治療ゴールの説明の重要性が再確認された.
10年間を振り返って,ガイドラインに示されるADの標準治療の基盤が整ったこと,また遺伝学,免疫学的に病態の解明が進んだことにより,AD治療の今後のさらなる前進が期待される.
全文記事
皮膚アレルギー:この10年を振り返る
アトピー性皮膚炎:この10年を振り返って
Atopic dermatitis : Topics in the decade
掲載誌
皮膚アレルギーフロンティア
Vol.9 No.3 13-18,
2011
著者名
中村 晃一郎
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
アレルギー・免疫
/
皮膚疾患
/
小児疾患
診療科目
アレルギー科
/
皮膚科
/
小児科
媒体
皮膚アレルギーフロンティア
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。