「十年一昔」というが，10年経てばその過去はすでに立派な歴史である．本誌もめでたく創刊10周年の節目の年を迎えることになり，今回は「皮膚アレルギー：この10年を振り返る」という特集を組むことにした．思えば10年前の創刊号には，私が敬愛してやまない故 玉置邦彦先生とともに，塩原哲夫先生と私の10年前の（今から見ればまだ若い面影をわずかに残す）写真とともに，「確固たる皮膚アレルギー学の復権には，アレルギー学を俯瞰した広い見識と緻密な皮膚アレルギーへの慧眼が求められる．本誌がその開拓者たらんことを編集者一同祈念してやまない」という創刊の辞が添えられている．皮膚科医が接触皮膚炎などの皮膚科特有のアレルギー学の殻に閉じこもることなく，臓器と時空を超えたアレルギー学の地平へ踏み出すことを鼓舞する意気込みと若い息づかいが感じられる．