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アレルギーをめぐるトレンド

スギ花粉症に対する舌下免疫療法

Sublingual immunotherapy for Japanese cedar pollinosis

後藤穣大久保公裕

皮膚アレルギーフロンティア Vol.9 No.1, 56-58, 2011

免疫療法は患者の原因抗原抽出物を治療に用いるもので,アレルギー疾患を根治・長期寛解させる唯一の治療法である.1911年の報告以来100年の歴史がある.皮下免疫療法の副反応を解決する方法として舌下免疫療法が開発され,海外ではすでに実用化されている.

舌下免疫療法

 舌下免疫療法を現行の皮下注射法と比較すると,幼少児にも投与できること,ショックを起こさないこと,通院回数を少なくできること,さらに海外では医療費が削減できることなどがメリットとして挙げられている.舌下免疫療法の作用メカニズムについては,従来の皮下注射免疫療法と同様に,Th1/Th2バランスの是正やT cell anergyによってT細胞機能が変化し治療効果が発揮されていると考えられている.とくに舌下免疫療法では,口腔粘膜の樹状細胞に抗原が取り込まれ,頸部リンパ節(顎下リンパ節)で免疫応答するとも考えられている.
 このような治療法を日本でも実用化できるように,われわれは厚生労働省研究班を中心に臨床研究を継続している.

1.方 法

 皮下注射用の標準化スギ治療エキスを使用し,プラセボ対照二重盲検比較試験を行った.
 抗原エキスは舌下に約2分間保持し,その後吐き出させる,舌下吐き出し法で行った.治療エキスは漸増投与した.
 鼻症状については,『鼻アレルギー診療ガイドライン2009年版(改定第6版)』1)に基づき,症状スコア,重症度スコアを計算し,使用薬剤は点数化して評価した.QOL評価は,『日本標準鼻アレルギーQOL調査票(2002年度版)(JRQLQ No1)』を用いた.17項目のQOL質問項目のスコアを合計し,花粉飛散季節中の変化を検討した.

2.結 果

 多施設共同では地域によって花粉飛散数や飛散時期が異なることもあり,治療効果が現れにくい傾向にあるが,鼻症状やQOLの評価項目で有意差をもって有効性が高いことを確かめられた(厚労省研究班での成績)(図1,2)2).

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