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ADモデル

食餌誘導AD 様モデル:内服抗アレルギー薬と瘙痒抑制

AD-like symptoms in HR-1 hairless mice fed a diet low in magnesium

赤松浩彦

皮膚アレルギーフロンティア Vol.9 No.1, 25-28, 2011

要 約
 われわれはHR-1ヘアレスマウスをげっ歯類の通常飼料からマグネシウム量を低下させた特殊飼料で飼育することにより,通常飼料で飼育した対照マウスと比較して,搔破行動などの臨床症状,皮膚生理機能の低下,皮膚病理組織像でのマスト細胞数や血中IgE値の有意な増加などのアトピー性皮膚炎(AD)患者で認められる特徴を有し,さらに抗アレルギー薬により搔破行動が抑制される食餌誘導AD様モデルマウスの作製に成功した.この食餌誘導AD様モデルマウスは,ADの病態解明や新しい抗アレルギー薬の開発などに有用なモデルマウスとなり得る可能性がある.

KEY WORDS
HR-1ヘアレスマウス/マグネシウム/アトピー性皮膚炎/モデルマウス/フェキソフェナジン塩酸塩

HR-1ヘアレスマウス
1968年,Temple大学Skin and Cancer Hospitalがクローズドコロニーで維持していたSkh:HR-1(ヘアレスマウス)を,1987年に星野試験動物飼育所(茨城県)がSPF化し,現在生産供給している.

フェキソフェナジン塩酸塩
フェキソフェナジン塩酸塩は,現在アトピー性皮膚炎患者のかゆみに対して用いられている内服抗アレルギー薬であり,その薬理作用として,H1受容体拮抗作用,マスト細胞からのケミカルメディエーター遊離抑制作用,好酸球の遊走抑制作用などを有することが知られている.

はじめに

 アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis;AD)は,“増悪・寛解をくり返すかゆみのある湿疹を主病変とする疾患であり,多くの患者はアトピー素因をもつ”と定義されている1).その病態は複雑であり,いまだすべて解明されておらず,また根治療法も確立されていない.そのためADの病態解明および治療法確立のために数種のモデルマウスが開発されている2-4).近年われわれは,HR-1ヘアレスマウスをげっ歯類の通常飼料におけるミネラル系のうち,マグネシウム量を低下させた特殊飼料で飼育することにより,AD様モデルマウス(atopic dermatitis-like symptom in HR-1 hairless mice;ADLM)を作製した5,6).本稿では,この食餌誘導AD様モデルマウスのかゆみに対する内服抗アレルギー薬の影響について述べたい.

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