要 約  マウス皮膚へハプテンを反復塗布すると,血中IgEの上昇を伴った皮膚炎が誘発される.炎症部位ではTh2サイトカインの発現,炎症細胞の浸潤が認められ,ハプテン塗布後には高頻度の搔破行動が誘発される.タクロリムスを皮膚炎誘発部位へ局所適用すると,皮膚炎の抑制とともに搔破行動が強く抑制される.一方,同様に適用したデキサメタゾンは皮膚炎をきわめて強く抑制し,好酸球浸潤をほぼ完全に抑制するが,搔破行動には抑制作用を示さない.タクロリムスの搔破行動抑制作用には表皮内への神経線維伸長の抑制,皮膚サブスタンスP作用の減弱などがかかわっていると推定される.