要 約  NC/Tndマウスは近交系であり,アトピー性皮膚炎を自然発症する.本マウスは飼育環境に依存して皮膚炎を発症するが,その病理組織学的特性ならびにIgE高産生など,病状は患者の場合と酷似している.現在までにIL-4をはじめとするいくつかのトランスジェニックマウスが皮膚炎を発症したことからアトピー性皮膚炎のモデルとして報告されてきたが,そもそも本疾患の発症には複数の内因性因子や環境因子などが複雑に関与することが判明しており,単一遺伝子だけでは本疾患の全体を説明できない.その点において,NC/Tndマウスはアトピー性皮膚炎の病態解明に重要な情報を提供しているだけではなく,薬効評価用としても有用である.