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Orthopractice―私の治療法 高疾患活動性のRA初診例に対する治療

DEBATE 2 MTX+TNF阻害薬による治療

齋藤和義田中良哉

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.11 No.2, 20-29, 2013

 早期に関節リウマチ(RA)と診断して遅滞なくメトトレキサート(MTX)を開始する重要性が唱えられている.さらに,予後不良因子などを勘案して生物学的製剤を併用することが推奨されるが,現在わが国で使用可能なTNF阻害薬は5剤であり,そのすべてにおいて基本的にMTX併用が望ましいと考えられる.MTX併用が必須なインフリキシマブ,併用しないと限定的な効果であるエタネルセプト,併用により中和抗体が抑制できるアダリムマブなどMTX併用に対する依存性は異なる.その他の製剤の構造,半減期,投与方法なども考慮して,個々のRAにベストユースを模索する必要がある.

緒 言

 関節リウマチ(RA)の診断には,米国リウマチ学会(American College of Rheumatology;ACR)が1987年に定めたRA分類基準が使われてきた.しかし,同分類基準は早期RAを分別する指標としては適当でないことが明らかになり,2010年ACR/欧州リウマチ学会(European League Against Rheumatism;EULAR)によりRA新分類基準が策定された.その背景には,近年の薬物療法,とりわけ生物学的製剤の登場があるが,早期にRAと診断し,使用可能であればメトトレキサート(MTX)を遅滞なく開始するべきであると推奨している.さらに効果不十分な場合には生物学的製剤にて積極的な治療介入を行えば,骨破壊などの不可逆的な進行を抑止しえ,長期寛解維持が可能であることが報告されてきたが,治療の根幹はアンカードラッグとされるMTXによる治療である.多くのTNF阻害薬はMTXを併用することで滑膜炎制御,骨破壊抑制において最大限の効果を得られることより,使用可能であれば併用すべきと考えられている.本稿では,高疾患活動性RA初診例に対する治療のなかでもMTX+TNF阻害薬による治療の適応,治療の実際,他の治療法との比較などにおける長所,短所などに関して概説する.

1 適 応

 RAの診断は,2010 ACR/EULAR分類基準に従って行い,疾患活動性,機能障害,構造障害,臓器障害などを評価したうえで,すみやかに治療を開始することを基本とする.2012 ACRでの治療推奨を図1a,bに示す.

発症6ヵ月未満の早期RA疾患活動性が低い場合,中等度で予後不良因子がない場合は,抗リウマチ薬単剤療法を選択する.中等度疾患活動性で予後不良因子(画像上の骨びらん,機能障害,RFまたはCCP抗体陽性,関節外病変〔血管炎,肺病変など〕)を有すれば,抗リウマチ薬併用療法(2~3剤),さらに高疾患活動性の場合,予後不良因子がなければ抗リウマチ薬単剤療法,予後不良因子を有すればTNF阻害薬±MTXでの治療開始,または抗リウマチ薬併用療法(2~3剤)を選択することが推奨されている.実臨床においては,多くの場合,予後不良因子を有する高疾患活動性RAが対象となるが,初診例に対してはMTXを開始し,有害事象などにて増量困難な症例以外は遅滞なく漸増することが望ましい.MTX増量ができず,あるいは16 mg/週まで増量しても効果不十分な症例に関してはTNF阻害療法の適応となる.一方,実臨床では初診時にすでに罹病期間6ヵ月以上のRAも紹介受診されてくることもある.このような場合,MTX単剤で治療を受ける患者で3ヵ月後に中等度以上の疾患活動性の場合,①MTXにそれ以外の抗リウマチ薬を追加,または②MTX以外の抗リウマチ薬に変更する.抗リウマチ薬への生物学的製剤追加時期については,MTX単剤または抗リウマチ薬併用療法で3~6ヵ月後に低疾患活動性で予後不良が示される場合には,抗TNF阻害薬に変更または追加する.MTX単剤療法または抗リウマチ薬併用療法で3ヵ月後に中等度以上の疾患活動性の場合,①TNF阻害薬に変更または追加,②TNF阻害薬未使用患者では非TNF系生物学的製剤(アバタセプトまたはリツキシマブ)に変更または追加,③他の抗リウマチ薬に変更または追加のうちから選択する.
 生物学的製剤間の変更については,TNF阻害薬投与3ヵ月後に中等度以上の疾患活動性の場合,他のTNF阻害薬または非TNF系生物学的製剤(アバタセプト,リツキシマブ,トシリズマブ)に変更する.一方,非TNF系生物学的製剤で6ヵ月後に中等度以上の疾患活動性の場合,TNF阻害薬に変更する.有害事象などによる生物学的製剤の変更については,非重篤有害事象のためにTNF阻害薬治療がうまくいかず中等度以上の疾患活動性の場合,他のTNF阻害薬または非TNF系生物学的製剤に変更する.また,有害事象(重篤/非重篤)のために非TNF系生物学的製剤治療がうまくいかず中等度以上の疾患活動性の場合は,TNF阻害薬に変更する1).

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