<< 一覧に戻る

Orthopractice―私の治療法 人工肘関節の現状と問題点

DEBATE 2 Linked type 人工肘関節

鈴木修身

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.9 No.3, 20-27, 2011

 肘のlinked type人工関節はインプラントの進歩によって良好な長期成績も報告されるようになってきている.骨量が少なく不安定性が高度な場合でも使うことができることが長所であり,関節リウマチ(RA)をはじめさまざまな病態に適応可能でその存在価値は高い.しかし,もしなんらかの問題が生じたとき再置換は容易ではなく,とくに活動性が高い場合には慎重に適応を考える必要がある.本稿では現行のlinked type人工肘関節の特徴と成績,問題点について述べる.

緒 言

 肘の人工関節の歴史は,1970年代に拘束型(蝶番型)が用いられるようになったことに始まる.いくつかの機種が用いられたが,いずれもヒンジ機構に自由度がなかったためインプラントに大きな負荷がかかり,とくに上腕骨側に高率にルーズニングやカットアウトを生じて良好な成績を得ることができなかった.そこで連結部に内外反の自由度をもたせる,上腕骨コンポーネント遠位部前方にフック型のフランジをつけて安定性を高めるなどの改良が加えられ,治療成績が大きく向上した.初期の関節を拘束型(constrained type),自由度を有する関節を半拘束型(semiconstrained type)と区別していたが,拘束という言葉にあまり意味がなくなり,最近では連結型(linked type)と呼ばれるのが一般的となった.それに対して表面置換型(surface replacement type)と分類されていた機種は非連結型(unlinked type)と呼ばれるようになっている.
 Linked type人工関節として現在世界で使用されている機種は6機種ある1).そのうちZimmer社のCoonrad/Morrey人工肘関節2)が最も歴史が古く多く使われており,良好な長期成績も報告されるようになった.また最近ではBiomet社のDiscovery®3)も使用可能となり,導入する施設が増えているものと思われる.本稿では筆者が実際に使用した経験から,これら2機種の特徴を紹介し,linked type人工関節の現状と問題点について述べる.

1 特 徴

 初期の拘束型(蝶番型)では自由度のまったくないヒンジ機構であったために,インプラントのルーズニングを高率にきたした反省から,連結部に内外反の自由度を有することが最大の特徴である.Coonrad/Morrey人工肘関節(図1a,b)では内反3.5度,外反3.5度,合計7度の自由度を有するよう設計されている2).

また初期の関節ではヒンジ部の接触面がmetal on metalであったことも好成績が得られなかった原因のひとつであり,ポリエチレン製の軸受け筒が用いられている4).さらに上腕骨コンポーネント遠位部前方に前方フランジと呼ばれるフック型の構造を有しており,ここに骨移植を行って回旋ストレスに対抗するとともに後方への沈み込みを防ぐ設計となっている(図1C)2).このような特徴に加えて,三次元動態解析を用いた研究ではCoonrad/Morrey人工肘関節は実際の肘関節に近い軌跡をとり,生体に近い運動をすることが知られている5).Discovery® (図2a,b)においても,内外反の自由度を有する,連結部にポリエチレンを用いる,前方フランジを有するという3つの特徴は同じである.

記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。

メールアドレス

パスワード

M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。

新規会員登録

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る