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米国整形外科基礎学会(ORS)

第57回米国整形外科基礎学会(ORS)

坂井孝司

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.9 No.2, 50-51, 2011

 米国整形外科基礎学会(Orthopaedic Research Society;ORS)は,2011年1月13~16日までの4日間,カリフォルニア州ロングビーチにて開催されました.ロングビーチはロサンゼルスの約30km南に位置する近郊都市のひとつで,太平洋に面し,1936~1967年まで大西洋を就航していたQueen Mary号が博物館兼ホテルとして係留,保存されていることで有名です.

 ORSはJournal Orthopaedic Research(JOR)を学会誌として有し,日本の整形外科医にとってはなじみの深い学会のひとつで,今年で57回を数えます(なぜか学会プログラム関係には57という数字が明記されていない).これまではAmerican Academy of Orthopaedic Surgeons(AAOS)とともに開催されていましたが,今年は初めて分離した開催となり,“historical meeting”と喧伝されていました.演題数は口演450題(一般口演150題,short talk 240題,spotlight session 60題),ポスター2,111題で,合わせて2,500題以上で,整形外科の多岐にわたる基礎分野から発表されていました.AAOSと分離開催した影響で,例年に比べ演題採択率がやや高くなっているようでした(例年は会場で採択率を公表していますが,今回はプログラムでみる限り2,561/2,757=92.9%).
 例年通り日本からの演題も多数発表されていて,New Investigator Recognition Award(NIRA)として受賞したポスター10演題のうち,2題は広島大学からの演題が受賞されておられました(Tomoyuki Nakasa, et al:The inhibitory effect of microRNA―146 expression on joint destruction in rheumatoid arthritis. およびNaosuke Kamei, et al: Endotherial progenitor cells promote regeneration of injured spinal cord through Notch signaling.).なお,われわれはin vivo kinematics of squatting after THAの演題でshort talkに臨み,英語での質疑応答にいつもながらスリリングなときを過ごしました.
 筆者はおもに股関節の基礎・臨床を研究している立場から,hip instabilityについて,finite element modelingを用いた肥満症例におけるTHA後の不安定性の解析や,THA後の関節包再建の不安定性への影響(この2つを発表していたUniversity of IowaのDr Jacob M Elkinsが今年度のThe William Harris Award受賞者でした),native hipの安定性に関する股関節周囲の靱帯や関節唇の影響についての発表に興味をもちました.またBMW社との共同研究で,車へ乗り込む際の動作をシミュレーションし,脱臼の危険性について評価した演題も興味深く聴講しました.
 ORSについて,筆者自身は12年前に初めて参加した学会ですが,当時はポスターを含めた演題数が1,600くらいで,同時期に開催されるAAOSの規模が大きいこともあり,こじんまりした印象がありました.各種口演を聴講することで,現時点での整形外科基礎分野のトレンドを知ることはできます.しかし年々巨大化し,口演は5つの会場で並行して行われるため,とてもすべてを聴講できる状況ではなく,興味ある演題が別会場で重なることもしばしばで,もう少し(ポスターを含め)演題数を絞ってもよいのでは,との印象をもちました.
 なお,2012年は,サンフランシスコで再びAAOSと同じ時期に開催される予定です.知識の整理・研究テーマの活性化・スリリングな時間を求めて,来年以後も参加していきたいと考えています.

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