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Orthopractice―私の治療法 生物学的製剤~点滴製剤か,皮下注製剤か

DEBATE 2 皮下注製剤

亀田秀人

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.9 No.2, 22-26, 2011

 皮下注製剤は利便性ゆえに生物学的製剤の主流となっている.メトトレキサートとの併用で十分な有効性を発揮することは,TNF阻害剤に共通した特徴のようである.現在の用法で安定した血中濃度の維持は可能となっているが,皮下注製剤本来の長所は,自宅で用法・用量をきめ細かく調節できることであり,まずは一部の必要症例に対する十分量への増量が可能となること,ついで患者に応じた導入時の用量設定といった自由度の拡大であろう.そのためには,われわれが製剤の作用機序や安全性のモニタリングに習熟することが不可欠である.

緒 言

 生物学的製剤は点滴製剤と皮下注製剤があり,インフリキシマブ(IFX)とアダリムマブ(ADA)のように,tumor necrosis factor(TNF)という同一の分子を標的としたモノクローナル抗体製剤の場合,患者に選択を委ねる場合も少なくないかもしれない.しかし,本当にそれで良いのだろうか? 本稿では,皮下注製剤について最新のエビデンスを参照しながら考察してみたい.

1 適 応

 現在わが国でリウマチ性疾患に使用可能な皮下注射生物学的製剤は,エタネルセプト(ETN)とアダリムマブ(ADA)である.いずれも既存の治療でコントロールできない関節リウマチ(RA)などの症例が適応とされている.今後は予後予測に進歩がみられれば,低分子化合物でコントロール困難と予測される患者に適応が拡大されるべきである.

2 治療の実際

 ETNは10mgまたは25mgを週2回,あるいは25mgまたは50mgを週1回となっている.寛解導入時には血中濃度を高めるために,最近ではほとんどの症例に対して50mgの週1回投与で開始している.25mgの週2回投与と50mgの週2回投与では,血中のピーク,トラフともに半減期の短いETNの場合は10~20%以内の増減しかないと考えられるため,寛解維持期に25mgの週2回投与に変更すべき患者は存在するものの少ないと思われる.むしろ,寛解導入後25mg週1回投与への減量の可否を検討するほうが良いであろう.
 可能な限りメトトレキサート(MTX)と併用するように心がけるが,MTXを併用しなくともETNの安全性は注射部位反応が増加するのみで,有効性は明らかに劣るものの症例によってはETN単独でも十分な効果が得られるために,選択肢となる.
 ADAは40mgの隔週投与が基本となる.ADA単独なら80mgの隔週投与まで増量可能となるが,国内試験で約40%の患者に抗ADA抗体が検出され1),有効性が一時的で持続しなかった治験時の経験からも,ADA単独投与は推奨できない.しかし,MTXと併用することで日本人においても高い有効性を期待することがHARMONY試験2)やHOPE試験3)からも明らかになってきている.したがって,IFXと同様にADAも原則MTXとの併用で投与している.

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