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Orthopractice―私の治療法 生物学的製剤~点滴製剤か,皮下注製剤か

DEBATE 1 点滴製剤

花岡洋成

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.9 No.2, 12-20, 2011

 現在わが国で使用可能な生物学的製剤のうち,点滴製剤はインフリキシマブ,アクテムラ,アバタセプトの3種類である.それぞれTNFα,IL-6,T細胞共刺激因子を標的としている.わが国で施行された大規模臨床試験の結果,プラセボ群と比較して有効性が示されている.皮下注製剤と比較して少なくとも同等の効果があり,バイオフリーを達成するエビデンスなどは優っている.また,その半減期の長さから感染症を代表とする有害事象には十分注意を要する製剤が含まれる.

緒 言

 炎症性サイトカインや,T細胞共刺激分子を標的とした生物学的製剤は,関節リウマチの治療パラダイムに大きな変革をきたした.現在わが国ではインフリキシマブ(IFX),エタネルセプト(ETN),アダリムマブ(ADA),トシリズマブ(TCZ),アバタセプト(ABT)の5種類の生物学的製剤が使用可能である.前3者は腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)を,TCZはインターロイキン-6(interleukin-6;IL-6)を,ABTはT細胞の活性化に必須とされる共刺激因子を標的とし,いずれも大規模試験でその臨床効果と骨破壊抑制効果が示されている.一方,各製剤の有効性をhead to headで比較した試験はATTEST試験1)(IFX vs ABT)のみであり,他の製剤同士の直接的な比較はなされていないのが現状である.今後さらにTNFを標的とした製剤(ゴリムマブ〔GOL〕,セルトリズマブ ペゴル〔CZP〕)のほか,B細胞を標的とした製剤も市販される可能性が高く,さらなる各患者背景を勘案した薬剤選択が要求される.生物学的製剤は点滴製剤と皮下注製剤に分類されるが,この投与方法も薬剤を選択するうえで重要な因子のひとつである.ここでは点滴製剤という観点から,生物学的製剤の特徴を概説する.

1 適応と治療の実際

 現在わが国で使用可能な生物学的製剤のうち,点滴製剤はIFX,TCZ,ABTの3種類がある.その適応は各使用ガイドラインに従う.それらの製剤の構造と特徴を表1に示す.

それぞれTNFα,IL-6,T細胞共刺激因子を標的としている.一方,皮下注製剤であるETN,ADAはともにTNFを標的とする.おのおのの標的分子が異なる点は,病態に応じた治療選択をするうえで有益であるが,いまだ投与前に確実に効果予測できない問題点がある.またその投与間隔も各製剤で異なる.IFXは投与0,2,6週後に投与し,4回目から8週間隔投与である.またABTは0,2,4週後に投与し,その後は4週間隔での投与.TCZは投与間隔の短縮は不要で初回から4週間隔での投与となる.投与時間は各添付文書によると,IFXは「2時間以上かけて」,TCZは「1時間程度」,ABTは「30分以上かけて」投与する.これらの投与間隔,投与時間の相違は患者の意向に影響する可能性があり,点滴製剤の種類を決定するひとつの要因となる.

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