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座談会(Round Table Discussion)

生物学的製剤と手術

石黒直樹桃原茂樹金子敦史西田圭一郎

Arthritis―運動器疾患と炎症― Vol.9 No.1, 45-56, 2011

生物学的製剤登場後における手術の変化
石黒 本日はリウマチ関節外科をリードされている先生方にお集まりいただき,「生物学的製剤と手術」をテーマにお話しいただきたいと思います.

出席者(発言順)
石黒直樹 Ishiguro Naoki…司会
名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻
運動・形態外科学講座整形外科教授

桃原茂樹 Momohara Shigeki
東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
整形外科教授

金子敦史 Kaneko Atsushi
独立行政法人 国立病院機構名古屋医療センター
整形外科・リウマチ科医長

西田圭一郎 Nishida Keiichiro
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科人体構成学分野准教授

生物学的製剤登場後における手術の変化(続き)

石黒 生物学的製剤という有力な治療法が導入されて,関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)の手術にはどのような変化があったでしょうか.桃原先生,東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターで実施されているIORRA(Institute of Rheumatology, Rheumatoid Arthritis)のデータを中心にお話しいただけますか.
桃原 1999年にMTXが認可され,2003年から生物学的製剤を使えるようになりましたが,われわれが2000年から開始したIORRAのデータをみますと,滑膜炎の症状が薬物によってかなりコントロールできるようになってきています.それに伴い,滑膜切除術の適応例が徐々に減少してきています(図1).

外来患者1,000人あたりの割合でみると,RAに関する手術全体の割合が少し減ってきていますが,絶対数は変わっておらず,これはあくまでもIORRAの登録母集団が増えてきた結果として相対的に減少していると考えています.
 一方で,手関節,手指あるいは足趾などの機能やQOLを高める関節形成術は,最近では増加傾向にあります.
金子 NinJa(National Database of Rheumatic Diseases by iR―net in Japan)の2008年のデータでは全体の約14%が生物学的製剤使用患者でしたが,2009年には17%に増加しています.
 普通に考えれば,生物学的製剤使用患者の手術は減少し,未使用患者の手術は増加してくるように思いますが,実は手術をしている患者さんのなかでも生物学的製剤を使用している割合は全体的に増えています.
桃原 統計をとっていませんが,私もそのような印象をもっています.
金子 確かに,早期RA患者の場合はMTX療法の早期導入,十分な増量や生物学的製剤投与による軽症化が考えられるのかもしれません.しかし,われわれがおもに診ている罹病期間が長い進行期や晩期の患者さんでは,生物学的製剤を投与していても,一部に関節破壊が進行あるいは残存して外科的手術の適応となることがあります.
 逆に,ある程度の期間MTXとTNF阻害薬を併用投与して良好にコントロールされている症例の場合は,多少罹病期間が長くても手術を行っていない印象があります.
西田 難渋症例も確かに残っていますが,それは過去に初期治療でうまくいかなかった患者さんや,長期間MTXが使われていなかった患者さんが多い気がします.
 桃原先生のデータとよく似ていますが,この10年間で岡山大学整形外科の手術件数をみたところ,下肢の手術が2004年頃から下がる一方で,上肢の手術は上昇していました(図2).

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