「Summary」慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は,「肺動脈内の血栓あるいは塞栓により肺血流が減少して肺高血圧症(PH)を生じ,これが3ヵ月以上持続している病態」と定義される。急性肺血栓塞栓症からの移行は5%ほどで,ゆっくりと進行し,PHをきたしてみつかる。PHは労作時息切れが症状の主体で,心エコー検査を施行して診断される。そして,PHの鑑別において,左心疾患によるもの,肺疾患によるものを除外し,肺血流シンチグラムを施行してCTEPHの診断にたどり着く。さらに,右心カテーテル検査,肺動脈造影を行い確定診断される。肺動脈血栓内膜摘除術によりはじめて予後の改善が得られたが,肺血管拡張薬の併用でも予後の改善が認められ,新しく開発された可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であるリオシグアトは単独でも6分間歩行距離を有意に改善した。また,2008年頃から盛んになったカテーテルによる肺動脈形成術は,著明な改善効果があり合併症もほぼ制圧され,今後の発展が期待されている。
特集 肺高血圧症治療の最前線
慢性血栓塞栓性肺高血圧症
Chronic thromboembolic pulmonary hypertension
掲載誌
Angiology Frontier
Vol.14 No.2 51-58,
2015
著者名
佐藤 徹
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
/
呼吸器
診療科目
放射線科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
Angiology Frontier
Key Words
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH),リオシグアト,肺動脈形成術
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。