<< 一覧に戻る

特集 CKD-MBDの病態から治療まで

腎移植後の骨ミネラル代謝

中村道郎

Angiology Frontier Vol.11 No.4, 50-58, 2012

「Summary」腎移植の成績は向上し, 長期的視野にたった骨ミネラル代謝の管理の必要性が生じてきた. 移植時にキャリーオーバーされる腎不全期の病態は, 術後移植腎機能の程度(ステージ)や免疫抑制薬などによってその改善度もさまざまである. ミネラル関連のパラメータは腎移植後改善の傾向を示すが, 副甲状腺機能のように移植前の病態によって術後も遷延するものもある. 一方, 骨はステロイドなど免疫抑制薬によって骨量の減少が認められることが多い. 移植後に改善の可能性のある病態を改善に導き, 悪化傾向にある病態を予防軽減するためには, 移植前からの骨ミネラル代謝管理と病態の把握が重要となる. 「はじめに」腎移植は末期腎不全患者における唯一の根治的治療法で, 透析療法に比べてquality of lifeのみならず生命予後においても優れた治療法といわれている. そしてその成績は年代ごとに向上し, 2001年以降の実施症例の成績は, 生体腎では5年生存率が96.5%, 生着率は91.9%, また献腎でもそれぞれ約90%, 81%と良好で, 10年以上の長期的予後の向上も期待できる1).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る