特集 CKD-MBDの病態から治療まで
ミネラル代謝と生命予後
Angiology Frontier Vol.11 No.4, 17-24, 2012
「Summary」従来「骨血管相関」は, 骨塩量が低い(骨折率が高い)と心血管疾患(CVD)が多いという「関連」の概念であった. 透析患者で認められるリン, 線維芽細胞増殖因子(FGF)23, アルカリホスファターゼ(ALP)などと全死亡やCVDとの関連が, 実は保存期腎不全やこれらが正常範囲にある一般人口でも成立することから, 骨血管相関の考えは進化したといえよう. つまり, これらのバイオマーカーは単なる「関連」を示すマーカーだけではなく, 病因である可能性が出てきた. このことから, これらのマーカーを正常化するリン吸着薬やcalcimimeticsといった薬剤の投与や副甲状腺摘出術(PTX)といった介入が, 本当に生命予後を改善するのかに興味が集まっている. 「はじめに」もともとは, 透析患者において血清リンやアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase; ALP)をはじめとする骨代謝マーカー, あるいはvitamin D statusが生命予後や心血管イベントと関連するという報告が相次ぎ, 慢性腎臓病に伴うミネラル骨代謝異常(chronic kidney disease-mineral bone disorders; CKD-MBD)という概念が生まれるに至った1).
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