特集 CKD-MBDの病態から治療まで
CKD-MBDの発症機序
Angiology Frontier Vol.11 No.4, 11-16, 2012
「Summary」腎不全患者の生命予後, 心血管イベントに大きく関与するのがCKD-MBDである. その発症機序の起点にはリン(P)負荷/貯留が存在し, それをドレナージするために骨から線維芽細胞増殖因子23(FGF23)が分泌されると考えられる. FGF23は腎からのP利尿亢進を促し, また小腸におけるP吸収を抑制する. 一方では, 血中の活性型ビタミンD濃度を低下させて間接的に便中のP排泄を促す. これら一連の反応により, 生体はPの恒常性を保っていると考えられる. CKD-MBDでみられる血管石灰化はヒトの老化現象に酷似しており, この過程に寄与するのはP負荷/貯留と考えられる. これら血管石灰化やさらには老化を防ぐためのシステムとして, FGF23を中心としたドレナージシステムが存在すると考えられる. 「はじめに」慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)に合併する二次性副甲状腺機能亢進症では, カルシウム(Ca), リン(P)の代謝異常とともに線維性骨炎, 無形成骨症, 骨軟化症など多彩な骨病変を発症する.
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