<< 一覧に戻る

特集 呼吸器疾患と血管病変

COPDとアディポネクチン

中西香織武田吉人

Angiology Frontier Vol.11 No.3, 48-56, 2012

「Summary」慢性閉塞性肺疾患(COPD)は糖尿病, 心血管疾患などを合併する全身性疾患であるとされているが, その詳細な機序は不明である. アディポネクチン(APN)は脂肪細胞から分泌され, 抗炎症作用, インスリン抵抗性改善作用をもち, メタボリックシンドロームの鍵分子であることが示されてきた. 喫煙による血中APN濃度低下が報告されたが, 肺におけるAPNの役割はほとんど検討されていない. そこで, 多様な機能をもつAPNがCOPD発症にも関与するのではないかと考え, APNノックアウト(KO)マウスを用いた表現型の解析とメカニズム解明を行うとともに, 治療応用の可能性を検討した. APN KOマウスでは肺気腫が加齢とともに進展し, さらに高齢マウスでは全身性炎症の指標であるC反応性蛋白(CRP)の増加だけでなく, 体重減少, 骨粗鬆症や筋肉・脂肪の萎縮などの肺外病変を認めた. 肺気腫を呈する機序として血管内皮細胞のアポトーシス増加, さらにアポトーシス増加の原因としてVEGFR-2とPECAM-1(CD31)の発現低下の関与が示唆された. 最後に, APNを組み込んだアデノウイルス投与を行ったところ, APN KOマウスの肺気腫進展は抑制された.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る