「Summary」超高齢化社会の進行につれて, 大血管症の発症進展を抑制する糖尿病治療戦略が日常診療のうえでも重要となっている. 大血管症は, 血圧・脂質などの複数の危険因子による疾患であるため包括的管理が重要であることは当然であるが, 血糖管理の意義や血糖管理のための薬剤の選択についてはさまざまな臨床試験の報告がなされ一定の見解が得られていないのが現状である. 医薬品開発の急激な進歩により, 現在さまざまな機序の血糖降下薬の使用が可能となっているが, 大血管症の発症進展を抑制するという観点からみて, これらの薬剤の利点や欠点を知って薬剤を使用することは実地診療上きわめて重要と考えられる. 近年. 糖尿病患者数の増加に伴い, 糖尿病性合併症の増加と重症化が国民の健康・QOLという観点から, また医療経済の観点からも重要な問題となっている. 今後ますます超高齢化社会が進行することを考慮すると, 特に大血管症の発症進展を抑制する治療戦略がさらに重要になってくると考えられる.