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特集 大血管障害抑制の視点からみた糖尿病治療のパラダイムシフト

特集にあたって

井口登與志

Angiology Frontier Vol.11 No.1, 10, 2012

近年, 糖尿病患者数の増加に伴い, 糖尿病性合併症の増加と重症化の予防が本邦における医療の重要な課題となっているが, 今後ますます超高齢化社会が進行することを考慮すると, 特に大血管症の発症進展を抑制する糖尿病治療戦略が日常診療のうえでも重要となっている. 大血管症は, 血圧・脂質などの複数の危険因子による疾患であるため包括的管理が重要であることは当然であるが, 血糖管理の意義や血糖管理のための薬剤の選択についてはさまざまな臨床試験の報告がなされ一定の見解が得られていないのが現状である. 医薬品開発の急激な進歩により, 現在さまざまな機序の血糖降下薬の使用が可能となっており, これらの薬剤を単独で, または併用してどのように有効に使用するかは, 糖尿病専門医でも悩ましいのが現状である. そこで本特集では, 糖尿病治療におけるエキスパートの先生方に, 現在使用可能な血糖降下薬について, 大血管障害の抑制という観点から, それぞれの薬剤の利点および欠点をevidence-basedおよび作用機序や病態の両面から概説していただいた. 薬剤の選択についてはいまだ一定した見解はないのが現状であるが, 各薬剤の利点や欠点を知って薬剤を使用することは, 実地診療上もきわめて重要と考えられる. 動脈硬化性疾患は, 癌と並び国民の生命予後およびQOLを左右する重要な疾患であり, その治療法は日常臨床の場においても重要な課題である. エキスパートの先生方にご執筆いただいた本特集が, 読者の方々の糖尿病治療薬についての理解を深め, かつ日常診療に役立ち, 結果として動脈硬化性疾患の抑制に少しでもつながることを願っております.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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