倉林 本日は,「わが国における閉塞性動脈硬化症(ASO)の変遷」をテーマに,おのおのご専門の立場よりご意見をお伺いしたいと思います。

倉林 ここ10年間において,閉塞性動脈硬化症(ASO)患者は非常に増加しています。その背景として,やはり糖尿病患者の急増が最も影響しているのでしょうか。

井口 ASO患者は糖尿病患者の増加と比例しており,生活習慣そのもの,つまり食事の欧米化に伴う脂肪摂取の増加や自動車数の増加による運動不足が関係しているといわれています。

倉林 近年は,ASOや脳血管疾患(CVD),虚血性心疾患(IHD)は全身の動脈硬化の一部分症であり,それぞれが合併したpolyvascular diseaseを呈するという考え方が定着してきているようですね。

宮田 国際的な疫学研究のREACH Registryにおいて,末梢動脈疾患(PAD)にIHDが合併している割合は欧米人の52%に比べて日本人では30%とやや少ないですが,CVDは同程度の合併率となっています。この合併率の高さは一般の人口に比べれば確実に多く,ASOがpolyvascular diseaseであることを如実に示しています(図1)。