各診療科における下肢虚血に対する診断・治療への取り組み それぞれの立場における具体的な症例提示や具体的な取り組み活動
第2回 末梢動脈疾患の診断・治療への取り組み
―内科医の立場から―
Angiology Frontier Vol.6 No.3, 70-76, 2007
食生活の欧米化, 交通手段の整備, 高齢者人口の増加に伴い, 動脈硬化を基盤とする末梢動脈疾患(peripheral arterial disease:PAD)は, 本邦でも急速に増加の一途をたどっている. 本稿では, PADに対する診断と治療を内科医の立場から概説する. [全身の動脈硬化進展抑制管理の重要性] PADの有病率は年齢とともに増加する. 40~50歳では約1%だが, 65~70歳では6%に到達している1). また, PAD患者の50%が冠動脈疾患を有し, 23%が脳血管障害を合併していることから, 全身の動脈硬化疾患とのオーバーラップが非常に多い点も重要である. なぜなら, PADの死因の75%は心血管イベント(心筋梗塞や脳血管障害)であり, 全身の動脈硬化進展抑制のための管理がその患者の予後を決定するからである. この「全身の動脈硬化進展抑制のための管理」こそ, 内科医としてのPAD治療戦略の最優先事項である1)-3). 血行再建療法は患者のQOLを急速に改善する重要な戦略であるが, それのみでは長期予後は改善しないことを忘れてはいけない. 間歇性跛行を有するPADの5年生存率は約75%と大腸癌の5年生存率(72%)とほぼ同一で, 重症下肢虚血症例では5年生存率は40%まで落ち込む2)(図1).
記事本文はM-Review会員のみお読みいただけます。
M-Review会員にご登録いただくと、会員限定コンテンツの閲覧やメールマガジンなど様々な情報サービスをご利用いただけます。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。