腎研究最前線―Up Date Nephrology
腎臓病領域への応用が期待される,他領域の医療発展に関する最新の知見(3)
掲載誌
Nephrology Frontier
Vol.15 No.4 75-77,
2017
著者名
内田 梨沙
/
南学 正臣
/
田中 哲洋
記事体裁
抄録
疾患領域
腎臓
診療科目
腎臓内科
媒体
Nephrology Frontier
Key Words
バルドキソロンメチル,Nrf2,Keap1,糖尿病性腎症
NF-E2-related factor 2(Nrf2)は,酸化ストレスに対する細胞の防御応答を司る転写因子である.Nrf2を活性化させる薬剤として,近年バルドキソロンメチルが様々な疾患で着目されている.癌治療を目的に開発されたが,その経過で2型糖尿病を有する慢性腎臓病(CKD)や肺高血圧に有用であることが明らかとなり,現在臨床試験が進められている.2016年5月には,糖尿病を有するCKD患者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(TSUBAKI試験)の中間解析で,イヌリンクリアランス法を用いてのGFR改善が発表され,今後治療への応用が期待される薬剤の1つである.本稿では,バルドキソロンメチルの腎保護効果や作用機序,そして臨床試験について概説する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。