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検尿ノススメ

第54回 多彩な尿細管上皮細胞の形態学的特徴と排出意義

横山貴新田孝作

Nephrology Frontier Vol.14 No.3, 42-49, 2015

「はじめに」尿中に排出される上皮細胞には,腎・泌尿器の上皮を覆う尿細管上皮細胞,尿路上皮細胞,扁平上皮細胞や円柱上皮細胞がある.女性の場合は,子宮頸部および体内膜由来の円柱上皮細胞が,尿中に混入することによって排出される.尿細管上皮細胞は,近位尿細管からヘンレの係蹄,遠位尿細管,集合管および腎乳頭までの内腔の上皮層を構成する.尿中には,糸球体腎炎やネフローゼ症候群などの腎実質疾患,薬剤性腎障害(水銀や鉛などの重金属,アミノグリコシド系抗菌薬,免疫抑制剤や抗癌剤),腎虚血または腎血漿流量減少を呈する病態(外傷,高度の火傷や脱水)などによって排出される.健常人でも運動,脱水や薬剤の服用時に少数認められる.特に夏季では水分摂取不足により排出される1,2).慢性糸球体腎炎などでは,尿細管間質病変の形成に伴って,近位尿細管上皮細胞の尿中排泄が増加し,蛋白尿を伴って鏡検400倍で1視野に1個以上排出していた場合は,eGFR60mL/min/1.73m2未満である可能性が示唆される3).尿中に数多く認められた場合は,急性尿細管傷害(acute tubular injury:ATI)が考えられ,注意深く観察し,迅速に臨床の場へ報告することが重要である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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