「SUMMARY」透析には至らない時期の慢性腎臓病(CKD)において,高頻度に認知機能障害があることが明らかになってきた.神経心理学検査からは,血管性認知症の特徴である遂行機能障害と,アルツハイマー病において早期からみられる記憶障害が,CKDと関連するという報告がある.CKDが脳小血管病を引き起こせば,CKD は間接的に認知機能を障害することになるが,CKDが認知機能に及ぼす影響は脳小血管病とは独立していたという報告もある.CKDとアルツハイマー病など神経変性疾患との関連についても指摘されているが,不明の点が多い.CKDと認知機能に関する研究領域は,今後さらに発展することが期待される.
「KEY WORDS」慢性腎臓病,認知機能,無症候性脳梗塞,白質病変,血管危険因子,アルツハイマー病,認知症