特集 腎臓再生医療の現状
間葉系幹細胞から腎臓再生
Kidney reproduction using the mesenchymal stem cell
Nephrology Frontier Vol.14 No.2, 36-40, 2015
「SUMMARY」間葉系幹細胞は各組織に内在する体性幹細胞の1つであり,中胚葉分化の系譜を持つ.この幹細胞は,種々の液性因子を放出し免疫調整に関与することで,様々な疾患に対して細胞療法として使用されている.2014年には300近い臨床試験が世界で行われ,臨床に最も近い再生医療用幹細胞と考える.また我々は,ヒト間葉系幹細胞を異種胎仔に移植することで腎発生を模倣させ,ヒト腎組織の一部再生に成功した.最新の知見と併せて紹介する.
「Ⅰ はじめに」間葉系幹細胞は,入手・樹立が容易で,培養技術が確立されており,iPS細胞と比べて腫瘍化のリスクも低い.特に細胞療法として広く応用され,様々な疾患への効果が期待される.再生医療における優等生的な幹細胞であるが,その性質についてはまだ不確かなところが多い.本稿では,間葉系幹細胞を用いた腎再生および細胞療法について,最近の知見を併せて紹介したい.
「KEY WORDS」体性幹細胞,間葉系幹細胞,前駆細胞,腎臓再生,細胞療法
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