特集 腎臓再生医療の現状
iPS細胞から腎臓の「臓器再生」に向けて
Kidney organoid reconstruction from pluripotent stem cells
Nephrology Frontier Vol.14 No.2, 22-28, 2015
「SUMMARY」「臓器」の再生.これは再生医学の究極の目標であると同時に,その機能に3次元構造が欠かせない腎臓の再生において,避けては通れない課題でもある.近年ようやく,iPS細胞から「ネフロン前駆細胞」の誘導が可能になり,胎児期相当の「腎臓組織」が一部再現できる段階になった.細胞から組織,組織から臓器の再生へ.発生学的な解析を糸口に,どのように「臓器再生」を目指してゆくのか,その現状と今後の展望について述べる.
「はじめに」かつて「再生医療」なるものは夢物語のようにも思われていたが,近年その状況は大きく変わりつつある.これまでの再生療法研究では,その入手の容易さや腫瘍化のリスクの低さなどから,生体内に存在する組織幹細胞や血液幹細胞を用いた臨床研究・応用が先行してきた.しかしながら,臓器によっては,そもそも成体の組織内から本来の機能を再建できるような再生能力を持った細胞を十分に得ることが難しい場合も多い.
「KEY WORDS」再生医療,iPS細胞,発生学,臓器再生,自己組織化
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。