腎研究最前線―Up Date Nephrology
再生医療─腎再生(1)─
Nephrology Frontier Vol.14 No.1, 82-85, 2015
「はじめに」2014年9月,世界初のiPS細胞(induced pluripotent stem cell:人工多能性幹細胞)を用いた臨床研究である加齢黄斑変性症患者への網膜色素上皮細胞シートの移植が実施されたことは記憶に新しい.網膜以外にも様々な臓器で再生医療の実現化に向けて研究が進んでいるが,腎臓領域においても例外ではない.また,iPS細胞から特定細胞種への分化誘導系を確立すれば,細胞療法(狭義の再生医療)以外にも疾患モデル作製,治療薬探索,薬剤毒性評価などの臨床応用や実用化を目指した研究が可能となるため,iPS細胞から腎系譜への分化誘導法の確立が期待されている(図1A).筆者らは,ヒトiPS細胞から腎臓を派生させる胎生組織である中間中胚葉への分化誘導法を確立し,それらの中胚葉細胞から腎細胞や尿細管構造を作製することに初めて成功した.
「KEY WORDS」iPS細胞,腎臓発生,腎臓再生,中間中胚葉,低分子化合物
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。