「はじめに」これまでの連載で,①細胞内外でのK+移動,②K+チャネルの構造,③ネフロン分節ごとのK+輸送,④副腎におけるアルドステロン分泌機構,について記してきた.今回と次回の2回の連載で,ネフロン分節におけるK+分泌調節機構について記す.今回は管腔内外の様々な因子(アルドステロンの尿細管への作用の分子については次回,詳細に述べる)について説明する.
「尿細管(主に集合管)においてK分泌に影響を与える因子」図1に,接合尿細管(connecting tubule:CNT)および集合管(collecting duct:CD)におけるK分泌に影響を与える因子を列挙した1).これら遠位部尿細管においては,血管側(基底側膜側:peritubular fluid)からのアルドステロン作用以外にも様々な因子がK+分泌に関与していることがわかる.管腔側からは,管腔液の流量,Na+濃度,K+濃度,さらにバソプレシンなどが影響する.また,血管側からはperitubular fluidのK+濃度やpHなどが影響することがわかる.今回は特に,図1の四角で囲んだ因子について述べる.