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特集 高血圧と腎

CKD患者の血圧管理のコントラバーシー(2)RAS阻害薬が第一選択薬なのか

Controversy over the management of blood pressure in CKD patients (2) Is RAS inhibitor a first-line method ?

有馬秀二

Nephrology Frontier Vol.13 No.3, 48-51, 2014

「SUMMARY」 慢性腎臓病(CKD)患者の降圧療法の目的は, 血圧を下げることにより腎障害の進展を抑制・阻止するとともに, 脳心血管疾患(CVD)の発症や再発を予防することにある. 軽度以上の尿蛋白を認める症例や糖尿病を合併するハイリスク症例では, 臓器保護効果に優れたRAS阻害薬を第一選択薬とし, 降圧不十分な場合には, 利尿薬またはカルシウム拮抗薬(CCB)を追加して130/80mmHg未満を目指す. 一方, それ以外の症例では必ずしもRAS阻害薬が第一選択とは限らず, RAS阻害薬, CCB, 利尿薬のなかから病態に合わせて選択し, 140/90mmHg未満を目指す.
「I はじめに」 腎臓の最も重要な役割は体液の恒常性を保つことであり, そのために作動している様々な機序は, 血圧調節にも関与している. したがって, 腎臓の異常を伴う慢性腎臓病(CKD)では高血圧を合併することが多い. 一方, 高血圧の持続は, 腎障害を増悪させてCKDの進展を促進するとともに, 高血圧をさらに重症化させるという悪循環が形成されてしまう. この悪循環を抑制するためにも, CKD患者では厳格な血圧管理が必要となるが, CKDでは脳心血管疾患(CVD)のリスクも極めて高いため, 個々の患者にとって最も適切な降圧レベルを設定し, 各人に合った降圧療法を行うことが重要である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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