【特集 高血圧と腎】
CKD患者の血圧管理のコントラバーシー(1)厳格な降圧は不要なのか
Controversy over the management of blood pressure in CKD patients (1) Is the strict control of blood pressure necessary or not?
掲載誌
Nephrology Frontier
Vol.13 No.3 38-47,
2014
著者名
田村 功一
/
酒井政司
/
東公一
/
小井手裕一
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
高血圧
/
腎臓
診療科目
循環器内科
/
腎臓内科
媒体
Nephrology Frontier
「SUMMARY」 慢性腎臓病(CKD)では集学的な管理が必要とされるが, 特に血圧管理が重要であり, その意義はCKD進行の抑制, および動脈硬化性心血管合併症(CVD)の予防である. 最近のエビデンスからは, CKDでの血圧管理では, 診察室血圧測定のみによる厳格な降圧一辺倒ではなく, 診察室外血圧測定の活用や病態に合わせた降圧薬の選択など, 降圧の質を考慮した"適切な降圧療法"を行うことが, CKD進行・CVD合併に対する効率的な抑制戦略のために重要であることが示されつつある. そのような状況下において, 今回CKD診療ガイドライン2013と高血圧治療ガイドライン(JSH2014)との間で, CKDでの血圧管理の推奨内容の整合性が図られることとなった. 「降圧の質を考慮した"適切な降圧療法"」とは, 診察室血圧の降圧のみならず診察室外血圧〔家庭血圧, 自由行動下血圧測定(ABPM)〕の改善, すなわち血圧変動の改善をもたらす降圧療法であり, また, CKDの病態に応じた降圧薬の第一選択薬や併用療法を考慮し, 腎機能(推算GFR)の長期的な維持と蛋白尿・アルブミン尿の減少を図る降圧療法である. このようにCKD診療ガイドライン2013, JSH2014では降圧目標や降圧薬選択を含めて, 病態に応じた個別化治療を推奨していることが最大の特徴である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。