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画像診断―イメージングアプローチ

生体顕微鏡糸球体毛細血管画像イメージング

─赤血球速度カラーベクトルマッピング表示─

山本徳則服部良平後藤百万

Nephrology Frontier Vol.10, No.3, 60-64, 2011

はじめに
 近年の画像イメージングの発達は目覚ましく,コンピュータや画像処理技術の発達によって,最近の画像診断技術は飛躍的に向上し,腎臓の最小単位であるネフロンイメージングまで迫る勢いである.そのネフロンは大きく濾過と再吸収のユニットからなり,その血管系は糸球体毛細血管と尿細管周囲毛細血管からなる.後者について以前,その画像イメージングから赤血球速度を算出して病態,治療効果の考察を行った.そこで,今回は糸球体毛細血管画像イメージングにフォーカスを当て,ペンシルレンズ型生体顕微鏡のラット糸球体毛細血管画像イメージングから画像処理して赤血球速度カラーベクトルマッピングを行ったので,その詳細について述べる.

はじめに(続き)

糸球体画像イメージング直接濾過機能と関連が深く,各種の正常モデル,病態モデルを解析することで,血流・代謝特性を解明する1つの指標となると考えられる.従来の血流速度計測は,特殊な色素の注入によって,腎臓全体の血流速度評価をマクロに行う手法や,特殊マーカーを腎糸球体に流してそのマーカー速度の解析法が実施されてきた1)2).これらの場合,血管内に異物を導入する必要があるため,生理的条件下での計測とは言い難い点があった.また,摘出灌流糸球体またはラット水腎症モデル1)や特殊なラットを使用し,対象動物に特殊な制限を加えて計測を行っていた.そのため,ヒトへのアプローチも,人体に影響のないマーカーの開発,特殊な制限がない状態での応用,術中での作業性などの点において,方法論的に問題があり,臨床への応用はなされておらず,生体内での腎糸球体の直接観測の実現は非常に難しかった.しかし,ペンシルレンズ型生体顕微鏡を用いることによって,糸球体画像イメージングが可能になり,その画像から血流解析を行うことが可能になってきた3)-5).
 ペンシルレンズ型生体顕微鏡で観測した糸球体画像を時空間画像処理することで,特殊なマーカーを投与することなしに,より生理的条件に近い状態の糸球体内赤血球速度計測が可能な解析システムを開発し,糸球体毛細血管イメージから画像処理を行い,赤血球速度カラーベクトルマッピングイメージングを作成した.

方法

1.ペンシルレンズ型生体顕微鏡システム

 開発したペンシルレンズ型CCDビデオカメラシステムについて概要を述べる(図1).

システムは,ビデオレコーダーとモニター,照明装置,コントロール装置,カメラ本体,照明ガイドとペンシルレンズからなり,空間分解能は0.86μmで時間分解能は33msecである.ペンシルレンズでとらえた腎微小循環は,ビデオテープに連続で記録され,連続画像はコンピューターシステムでデジタル化される.ペンシル型をした筒の先に直径が1mmのレンズがあり,小動物の腎臓へのアクセスを容易にしている.レンズの周りに備え付けた光ファイバーから光を放射し,反射した像を取り込み,緑のフィルターを通してCCDカメラで電気信号に変換する.赤血球は赤い色素を持つので,緑のフィルターを通すことで黒い像として得られる.特徴としては,カラーの像はCCD3素子で取り込むのに対し,白黒の像はCCD1素子で取り込むことができるので,解像度の向上が望める点,また,レンズがペンシル型で,小型のCCDを用いているので,撮影作業性がよいなどの点があげられる.これにより,糸球体毛細血管の直接観測が可能であった.その結果,空間分解能は0.86μmである.時間分解能は16.7msecである.また,画像解像度は0.625μmで,400μm×300μmの範囲で撮影が可能で糸球体サイズをイメージング可能である.

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