はじめに
尿細管上皮細胞は,近位尿細管から腎乳頭までの内腔の上皮層を構成する.糸球体腎炎やネフローゼ症候群などの腎実質疾患, 薬剤性腎障害(水銀や鉛などの重金属,アミノグリコシド系抗菌薬,免疫抑制剤や抗癌剤),腎虚血または腎血漿流量減少を呈する病態(外傷,高度の火傷や脱水)などで尿中に出現するが,健常人でも少数認められる.慢性糸球体腎炎などでは,尿細管間質病変の形成に伴って,近位尿細管上皮細胞の尿中排泄が増加し,蛋白尿を伴って鏡検400倍にて1視野に1個以上出現していた場合は,推算糸球体濾過量(eGFR)60mL/min/1.73m2未満である可能性が示唆される1).尿中に数多く認められた場合は,急性尿細管傷害(ATI:acute tubular injury)が考えられ,注意深く観察し,迅速に臨床へ報告することが重要である.
全文記事
検尿ノススメ
第38回 角柱・角錐台型尿細管上皮細胞の出現意義
掲載誌
Nephrology Frontier
Vol.10 No.3 47-52,
2011
著者名
横山 貴
/
岩本尚子
/
堀田茂
/
新田孝作
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
糖尿病
/
腎臓
/
泌尿器
診療科目
一般内科
/
腎臓内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
/
泌尿器科
媒体
Nephrology Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。