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尿細管の再生医学

ES細胞,iPS細胞を用いた尿細管・腎再生

菱川慶一

Nephrology Frontier Vol.10, No.3, 34-37, 2011

SUMMARY
 ヒトiPS細胞の樹立により,腎臓再生への応用が期待されている.iPS細胞はES細胞と同様の全能性を持つと期待されるが,ES細胞を特異的に腎臓系統へ分化誘導する方法は確立されていない.一方,iPS細胞には樹立前の細胞記憶が残されていると報告され,腎臓由来iPS細胞は尿細管細胞などへの分化誘導に適していると思われる.また,腎臓全体を異種動物の体内で作製する方法として,胚盤胞補完法の応用が期待されているが,今後は大型動物を使用した検討が待たれている.

KEY WORDS
◆Epigenetics ◆DNA メチル化 ◆脱メチル剤 ◆脱アセチル化剤 ◆胚盤胞補完法

Ⅰ はじめに

 再生医学の手法を用いた腎臓再生法として,臨床応用に最も近いのはフェーズⅠ/Ⅱの臨床研究の行われている間葉系幹細胞移植であろう1)2).その他動物レベルでは,SP細胞などの腎臓組織幹細胞の報告もなされているが3)4),臨床応用の観点からは,十分な組織幹細胞の確保に問題がある.一方,最も可能性の高いES細胞については,むしろ報告が遅れている.ヒトES細胞の臨床応用への最大の障壁は,余剰胚を利用するという倫理面での問題であったが,iPS細胞が樹立され,倫理的問題は解決されつつある.以下では,ES細胞,iPS細胞を用いた尿細管・腎再生について概説する.

Ⅱ ES細胞

 マウスやヒトES細胞を重度複合形免疫栓(sever combined immune deficie:SICD)マウスに移植し,奇形腫(teratoma)を形成させると糸球体や尿細管様の構造物が見られることから(図1)5)6),ES細胞は腎臓系統へ分化する能力を持つと考えられているが,現時点では特異的な分化方法は確立されていない.

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