はじめに  腎循環の特徴であるが,優れた制御性とともに機能的多様性を持つことである.ここで,機能的多様性を持つ理由は,①濾過に関係の深い糸球体循環およびその前後に位置する輸入・輸出血管,②水および電解質・アミノ酸その他の物質の再吸収と分泌に関係する皮質部尿細管周囲血管網,③尿濃縮に関係が深い髄質循環,④尿細管・糸球体フィードバック(TGF)系が存在することである.これまで行われてきた腎微小循環の観察は大きく分けて,①摘出灌流心または単離糸球体輸出入血管標本を用いる方法と,②生体顕微鏡を用いた直接in vivo観察法に分けることができる.後者のin vivo観察法では,目的とする微小血管が観察可能な特殊な動物モデル(ネフロン表在化ラットモデル)や微小循環が可能なように標本に特殊な工夫を加えたモデル(TGF機構が傷害されている水腎病モデル)が用いられてきたが,生理的,病態モデルを反映した糸球体画像イメージング技術は限界があった.そこで今回,我々が開発した前回尿細管イメージングを行った腎微小血管画像イメージングシステムを用いて,腎微小血管の生理的,病的状態を比較し述べる.