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画像診断―イメージングアプローチ

尿細管・糸球体フィードバック機構と高血圧,糖尿病病態モデル微小血管画像イメージング

山本徳則服部良平後藤百万

Nephrology Frontier Vol.10, No.2, 67-71, 2011

はじめに
 腎循環の特徴であるが,優れた制御性とともに機能的多様性を持つことである.ここで,機能的多様性を持つ理由は,①濾過に関係の深い糸球体循環およびその前後に位置する輸入・輸出血管,②水および電解質・アミノ酸その他の物質の再吸収と分泌に関係する皮質部尿細管周囲血管網,③尿濃縮に関係が深い髄質循環,④尿細管・糸球体フィードバック(TGF)系が存在することである.これまで行われてきた腎微小循環の観察は大きく分けて,①摘出灌流心または単離糸球体輸出入血管標本を用いる方法と,②生体顕微鏡を用いた直接in vivo観察法に分けることができる.後者のin vivo観察法では,目的とする微小血管が観察可能な特殊な動物モデル(ネフロン表在化ラットモデル)や微小循環が可能なように標本に特殊な工夫を加えたモデル(TGF機構が傷害されている水腎病モデル)が用いられてきたが,生理的,病態モデルを反映した糸球体画像イメージング技術は限界があった.そこで今回,我々が開発した前回尿細管イメージングを行った腎微小血管画像イメージングシステムを用いて,腎微小血管の生理的,病的状態を比較し述べる.

はじめに(続き)

 腎血管画像アプローチにあたり,その臨床の目的は大きく2つ存在する.1つは腫瘍血管画像イメージング特性から悪性と良性の鑑別を行うこと,もう1つは腎血管画像イメージングから腎機能を評価することである.以前は,造影超音波検査か腎微小血管画像イメージングから腎細胞癌の診断1)と移植腎機能2)について述べた.また前回は,ネフロンの一部である急性虚血性腎不全の責任血管である尿細管を栄養する周囲微小血管イメージングから血流の定量化を行い,病態による違いについて述べた.腎臓最小単位であるネフロンはvasculo-tubular unitを構成する独特な構造を有し,その糸球体微小血管の径変化は直接濾過に機能に影響を及ぼし,生体内で最も機能を反映する微小血管である.今回は,近年時間,空間分解能の目覚しい進歩を遂げている腎血管画像検査のアプローチにあたり,その糸球体画像イメージング(細動脈血管径変化)から生理的メカニズムと末期腎不全の原因として重要な高血圧,糖尿病の器質的異常のない初期の病態モデルを微小血管径変化とイメージング比較し,その特徴を述べる.

方法

 そこで我々は,前回応用したペンシル型CCD生体顕微鏡を用いて麻酔下イヌ3)またはラット4)を対象に実験を行った.1画面を33m/秒で撮像することが可能なCCD素子を内蔵するシステムで,ニードルの周囲に光源用ライトガイドを有する.ペンシル型プローブの先端には1つの円錐型のレンズを使用し,分解能を高めている.円錐レンズの先端は1mmで,小動物の腎臓にもアクセス可能である.照明光は光源(160Wメタルハライドランプ,シグマプレシジョン)からガイド用光ファイバーを通して観測視野周囲の組織へ照射され,組織内で散乱した光によって観測部位を照射する.円錐レンズを通して結ばれた観測画像は,約12万画素の単板CCDによってビデオ信号に変換され,VTRに記録される.その画像は,ビデオA/D変換装置(DFM,計測技術研究所)でデジタル化して,解析システム(Power Mac G4)により画像データファイルとして蓄積する.解析システムでは,画像データの濃度調節およびノイズ除去などの画像処理を行い,糸球体サイズ,輸入,輸出細動脈血管径をそのdensity profileから算出5)する(図1)6).

ペンシルレンス先端(径:1 mm)は腎被膜を経由し,対象微小血管上に接触させた.プローブ先端は,対象となる血管を圧迫した後,これを徐々に解除し,血流が流れ始めてから,さらにX, YそしてZ軸を微細に調節可能なマイクロマニュピレーターを用いて数10μm手前に引き,血管イメージが安定し,かつ明瞭に得られる部位に固定した.次いで,focus ringを回してピントを合わせ血管像を観察したが,血管イメージのコントラストを付けるために,赤血球の補色となるグリーンフィルターを光源とプローブ間に装着した.この糸球体微小循環と全身血行動態パラメーター(血圧,心拍数,腎血流量)を同時に測定した(図1).

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