はじめに
常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease:ADPKD)は,PKD1遺伝子またはPKD2遺伝子の変異が発症に関与し,全身に様々な合併症を生じる.腎の症状としては,腎機能障害,高血圧,腎不全がある.約50%のADPKD患者は,60歳までに末期腎不全状態となる.したがって,腎機能の障害程度によって種々の成分が尿中に排泄されることが予測され,尿沈渣検査における各種成分のモニタリングは,臨床像を推定する上で有用な検査に成り得ると考える.
本稿では,東京女子医科大学第四内科にて外来経過観察が可能であったADPKD患者17名を対象に,尿検査所見(蛋白定性値,尿沈渣)について検討した.17例の尿沈渣所見については,次のように評価した.血球類と上皮細胞類は個/HPF(強拡大:400倍で1視野表現),円柱類については硝子円柱は個/LPF(弱拡大:100倍で1視野表現)で検討した.推算糸球体濾過量(eGFR)は,194×血清クレアチニン値-1.094×年齢-0.287(女性の場合×0.739)で求めた.比較検討に用いた数値は,平均値±標準誤差と中央値である.有意差検定は,Mann-Whitney U testを用いて危険率p<0.05を有意とした.
全文記事
検尿ノススメ
第37回 多発性囊胞腎患者における尿検査の必要性
掲載誌
Nephrology Frontier
Vol.10 No.2 51-54,
2011
著者名
横山 貴
/
大沼榮子
/
望月俊雄
/
新田孝作
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
腎臓
/
泌尿器
診療科目
腎臓内科
/
泌尿器科
媒体
Nephrology Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。