SUMMARY  多発性嚢胞腎(ADPKD)患者は,腎臓において嚢胞形成が顕著になり腫大腎を呈するが,一方で嚢胞形成が肝臓にも起こり顕著になった場合には,多発性嚢胞肝(ADPLD)と称される.肝腎が著明に腫大すると,腹部膨満症状が強くなるばかりでなく,嚢胞出血や嚢胞感染を起こすこともある.症候性となると治療介入が必要になる.著明な腫大腎または腫大肝に対しては,腎動脈または肝動脈塞栓術(TAE)がsize reductionに有効であり,2011年4月までに当院にて約1,000例に対して施行された.TAEは,腫大腎に対しては極めて効果的であるが,腫大肝においては治療が嚢胞集蔟部位に限定されるため,腫大肝全体の縮小には至らず,治療効果という点においては課題が残されている.