ダーラム法によってスギ花粉飛散状況を検討してみると,年ごとの花粉飛散量のみならず,飛散パターンも大きく異なっている.図1は2007~2012年までの千葉市でのスギ花粉飛散と,原則薬物治療を受けていない舌下免疫療法の臨床試験のプラセボ投与群であった患者の症状をアレルギー日記からみたものである1).飛散開始後の花粉飛散量は従来考えられていたような弧状に増加していくことはむしろ少ない.一方,花粉飛散開始日を契機として患者の重症度が増悪していることがわかる.ただ,飛散開始前も毎年一定の割合で有症者がみられている.これは,スギ花粉に対して高い過敏性を有している患者の存在や自宅の近隣にスギ林があるなど早期から多量のスギ花粉曝露を受けている患者の存在を示唆している.しかし,これらのほとんどは軽症者であり,図1には示されていないが1月の日記でもほぼ同じように症状を有している.本人の自覚はなくても通年性アレルギー性鼻炎の合併があったり,さらにはくしゃみや鼻かみなどの軽い症状は正常者でもみられることも考慮すると,果たして飛散開始前の有症者のうちどのくらいがスギ花粉による症状を示しているのかは明らかではない.
Question & Answer
スギ花粉症には花粉飛散前から治療を開始したほうが良いか/アレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法の効果・持続はどの程度か
掲載誌
鼻アレルギーフロンティア
Vol.19 No.1 24-25,
2019
著者名
岡本 美孝
/
飯沼智久
記事体裁
連載
/
Q&Aシリーズ
/
抄録
疾患領域
アレルギー・免疫
/
耳鼻科疾患
診療科目
アレルギー科
/
耳鼻咽喉科
媒体
鼻アレルギーフロンティア
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。