いきなりですが,「論文が書けない」と嘆いているのは,あなただけではありません.多くの医師,研究者,学生がこの悩みを共有しています.かく言う私も,決して論文がスラスラ苦もなく書けるわけではありません.ハッキリいって,論文執筆は何度やっても,辛く苦しい作業です.何といっても,論文執筆は,最後までやり遂げて初めて「書いた」ことになります.つまり,どんなに一生懸命取り組んでも,最後に論文がアクセプトされてはじめて日の目を見る―たとえ原稿を書き上げていたとしても,アクセプトまでの過程のどこかで頓挫すれば,あなたは何もやっていなかったのとほとんど同じことになる厳しい世界です.これは,とりあえず抄録が通って,その日の発表をとにかくやってしまえば終わりになる学会発表とは大きく異なるところです.論文が書けるようになるための第一歩は,そうした論文執筆の厳しさを認識し,そこに立ち向かう勇気,折れない心を持つことでしょう.
とはいえ,そんな辛く厳しい論文執筆の過程を少しでも軽減しようというのが本稿の目的です.第1回目の今回,総論としての論文執筆の「コツ」として,①イッキに書き上げようとせず匍匐(ほふく)前進,②小分けにして単純作業に落とし込む,③作業の妨げになるものを排除する,の3つを挙げたいと思います.
とはいえ,そんな辛く厳しい論文執筆の過程を少しでも軽減しようというのが本稿の目的です.第1回目の今回,総論としての論文執筆の「コツ」として,①イッキに書き上げようとせず匍匐(ほふく)前進,②小分けにして単純作業に落とし込む,③作業の妨げになるものを排除する,の3つを挙げたいと思います.