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統合失調症の思考と言語

統合失調症における具象化傾向(concreteness)と過包括(over-inclusion)

前田貴記鹿島晴雄

Schizophrenia Frontier Vol.11 No.3, 35-40, 2010

「要約」統合失調症では, ことばの使い方が独特であり, 治療者とのあいだでも言語的コミュニケーションが上手くいかないことがしばしばであるが, その理由として, まずは幻覚・妄想などの異常体験の新奇性・特異性が主たる要因と考えられる. 言語新作なども, 未知の体験をできるだけ近いことばで伝えようとしているのであろう. 他方, 滅裂思考などの思考障害の現われによるものもある. 思考障害の一型として, 概念形成の抽象水準が過度に具象的, 逆に過度に抽象的, あるいは両極のあいだで変動するなど, 適切な抽象水準で思考することができないという症状もある. このとき問題となるのは, Vygotsky LSのいう「擬概念」のように, 一見, 抽象的なことばを正しく使用しているようにみえても, 実質的には発達論的に下位水準の具象的思考に則っているという, 思考と言語の乖離という事態が起きうることである. 診断・治療を進めるにあたり, 患者のことばが何を意味しているかについて正しく把握する必要があるが, 統合失調症において表出されることばは, このようにさまざまな水準でのわからなさが潜在していることを認識しておく必要がある. 本稿では, 思考の抽象水準の異常として, 具象化傾向(concreteness)と過包括(over-inclusion)について再考し, 統合失調症における思考と言語の問題について考えてみたい.

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