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【覚せい剤精神病】
覚せい剤による依存,精神症状,認知障害
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.11 No.2 20-24,
2010
著者名
秋山一文
/
齋藤淳
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」覚せい剤(メタンフェタミン)は環太平洋諸国を中心に乱用が広がっている. 覚せい剤に対する渇望はきわめて高く, 依存患者は容易に再使用に陥る. 断薬後も持続する精神病状態の診断的位置付けをめぐっては欧米とわが国で見解が分かれるが, このような例では何らかの遺伝的あるいは病前の脆弱性も関与していると考えられている. 精神病状態とともに, 抑うつ, 自殺企図, 衝動性などの感情面での症状も重要で, 特に女性患者では自殺企図の危険性が高い. 覚せい剤が脳内のドーパミンニューロン, セロトニンニューロンに重大な障害を与えることはPET研究で明瞭に証明されている. すなわち, ドーパミントランスポーターの減少が認知障害と, セロトニントランスポーターの減少が衝動性亢進とそれぞれ有意に相関することが報告されている. 覚せい剤を再使用することには何らかの認知障害, たとえば意思決定の障害が関与している可能性が考えられる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。