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【高齢化する統合失調症】
統合失調症と認知症との合併―疫学的データ
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.10 No.1 17-21,
2009
著者名
粟田主一
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
精神疾患
/
神経疾患
診療科目
神経内科
/
老年科
/
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」統合失調症と認知症の合併に関する疫学的研究を, MEDLINEおよび医学中央雑誌を用いて検索し, 可能な範囲でレビューした. (1)統合失調症と認知症の合併頻度に関する地域ベースの疫学調査は見当たらない. 医療機関ベースの調査では, 高齢の統合失調症入院患者には高頻度に認知症が合併することが示唆されている. (2)統合失調症が認知症疾患のリスクファクターになるか否かは, 現在のところ明らかではない. (3)遅発性統合失調症のなかには, アルツハイマー病のような変性型認知症疾患の前駆症と位置づけられる一群があるが, その臨床特性は明らかではない. 急速な高齢化のなかで, 統合失調症と認知症を合併する高齢者の医療とケアのあり方が問われている. 方法論的な問題を整理したうえで, まずは認知症疾患の標準的な臨床診断基準を用いた疫学的調査研究を, 医療機関, 施設, 地域レベルで実施する必要がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。