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巻頭言

膝関節軟骨再生研究からみた再生医療の目指す先

脇谷滋之

再生医療 Vol.19 No.4, 3, 2020

整形外科医として膝関節軟骨再生の研究に取り組んで約35年になる。当初,ウサギに同種軟骨細胞移植の実験をしながら,この方法が臨床で使えるようになるのがいつかは想像もできなかった。1996年,島根医科大学(現 島根大学医学部)に移られた越智光夫先生から,自家軟骨細胞移植の臨床研究をしたいから手伝ってほしいとの依頼を受けて,大阪から出雲に出かけて最初の症例の細胞培養を指導し,手術に立ち会った。この技術は2001年9月治験前確認申請,2004年5月治験開始,2012年7月製造販売承認,2013年4月保険収載と,多くの方々の大変な努力と長い時間をかけて自家培養軟骨「ジャック®」として世に送り出された。このようなことがないようにするために日本再生医療学会が早期承認制度を制定に尽力したことは皆さまご存知の通りである。苦労して保険収載されたジャック®は2013年には28例に施行され,その後徐々に増加し2019年には223例,合計約1,000例に施行されたが,想定された膝関節軟骨欠損の症例数と比較すると遥かに少ない。広く普及しない原因として,手術適応および施設基準の問題,さらには技術的困難さ,整形外科医への啓蒙不足など考えられるが,膝関節軟骨特有の問題として有効性評価の困難さも存在する。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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