レギュラトリーサイエンスといえば,1987年に内山充先生が提唱したという話を聞く。国立衛生試験所の内山副所長(当時)が衛試支部ニュース(1987年10月28日)において,「私は当所の仕事をregulatory scienceと称している」1)と述べた上でその考え方が示されたことが,ことの始まりという整理となるのだろう。その後の講演でも,これを引用してレギュラトリーサイエンスの解説をしている2)
1972年に米国の物理学者であるAlvin M.WeinbergはTrans-scienceという概念を提唱3)しており,科学に回答が求められても科学では回答することができない問題を取り扱うこととしている。Regulatory Scienceという言葉ではないが,その概念の混沌とした議論と同質であり,これ以降,mandated science(Salter L, et al. 1988),fiducial science(Hunt J, et al. 1999),postacademic science(Ziman J. 1996),mode 2 science(Gibbons M, et al. 1994),post-nomal science(Funtowicz SO, et al. 1992)などがそれぞれの概念を示している4)