患者まで届いている再生医療
獣医学領域で行われている再生医療の臨床研究
再生医療 Vol.19 No.3, 39-45, 2020
獣医学領域においても,再生医療分野の基礎研究は盛んに行われており,イヌやネコの疾患の治療を目的に様々な再生医療や細胞療法がすでに実施されている。イヌやネコに対しては,多血小板血漿や間葉系幹細胞を用いた治療が多く,骨折や脊髄損傷,変形性関節症,全身性炎症性疾患,炎症性腸疾患,眼科疾患,血液疾患,皮膚疾患など幅広い疾患に適用されている。これらの治療は,大学病院などの高次動物診療施設のみだけでなく,一次動物診療施設においても広く実施されるようになってきている。そのような背景から,獣医学領域においても指針が策定され,再生医療や細胞療法を実施する者には,安全性の確保のみならず,信頼のある治療の提供が求められている。また,このような先進的な治療の臨床研究を展開する際には,その適否を判断する倫理審査が必要となるときもある。本稿では,筆者の所属する日本大学動物病院において,どのようにして再生医療や細胞療法が実施されているのか実例を挙げながら概説する。
「KEY WORDS」獣医療,指針,臨床研究,間葉系幹細胞,変形性関節症
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。