遺伝情報はアデニン(A),チミン(T),グアニン(G),シトシン(C)の4種類の核酸塩基によって構成されており,ヒトの全遺伝情報(ゲノム)は約30憶の塩基対からなる1)。このうちタンパク質の情報をもっている領域を遺伝子と呼ぶ。例えば,遺伝子の領域内では,一つの塩基だけが別の塩基に置き換わっただけでも産生されるタンパク質の機能が変化する可能性がある。このように遺伝情報において一塩基が置き換わったものを一塩基変異または一塩基多型(single nucleotide polymorphisms;SNPs,スニップ)という。この変位と多型は頻度によって区別されており,その頻度が1%未満のものを変異,1%以上である場合には多型と定義される場合が多い2)。SNPsはヒトのゲノムにおいて,全体の0.1%に相当するおよそ300万ヵ所に存在すると推定されている3)