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患者まで届いている再生医療

脂肪組織由来多系統前駆の自己細胞移植による歯周組織の再生

竹立匡秀村上伸也

再生医療 Vol.18 No.4, 54-59, 2019

私たちの歯は,咀嚼機能に関わる第一の器官として重要であるのみならず,構音機能や調和のとれた顔貌の維持にも深く関与しており,生涯にわたるQOLの維持・向上に必須の役割を担っている。これらの歯の機能は,2種類の硬組織(歯槽骨,セメント質)と2種類の軟組織(歯肉,歯根膜)から成る歯周組織によって歯が顎骨に強固に支持されることにより維持されるが,歯と歯肉の境界部に形成された細菌バイオフィルム(デンタルプラーク)が原因となり歯周組織に炎症が惹起されると,その原因の除去が行われない限り,同組織の破壊が慢性的に進行する。これが,成人の約八割が罹患しているとされる歯周病であり,中・高年期に歯を喪失する一番の原因となっている。
歯周病に対する治療の原則は,その原因であるデンタルプラークの除去である。具体的には,患者自身が歯ブラシとともに歯間ブラシ,デンタルフロスなどの補助器具を用いたセルフケアを徹底することに加え,歯根表面の壊死セメント質や歯周ポケット(歯と歯肉の間の溝)に面した炎症肉芽組織を機械的に除去するプロフェッショナルケアにより歯周組織における炎症を軽減・消褪させることが可能である。しかしながら,このような原因除去療法は歯周病の進行を抑制するものの,一度破壊されてしまった歯周組織を再生させるには至らない。そのため,歯周病により失われた歯周組織の再生誘導を目的として,これまでにいくつかの歯周組織再生療法が開発され,日常臨床で一定の効果をあげている。
「KEY WORDS」歯周組織,脂肪組織由来多系統前駆細胞,自己移植

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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